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アベノミクスの落とし穴 [政治・社会]

政府と日銀が2%に物価目標を確認して無期限の金融緩和に動き出した。だが、これにはいくつかの落とし穴があるといわなければならない。


まず、金融緩和政策は日銀→銀行→企業→賃金・雇用というお金の流れを描いているが、銀行にはすでに過剰資金が滞留している。その原因は企業からの資金需要が低迷しているためで、ダブついた資金はかつてのように株や不動産へと運用されマネーゲームが再来しかねないという(山口立教大教授、1月14日、NHKラジオ)

仮に、企業まで順当にお金が出回ったとしても果たして雇用や賃金の改善に連動していくかというとこれまたその可能性は極めて低い。なぜかというと、過去もそうだったが、企業は業績が上向いても将来不安から内部留保に回り賃金・雇用を改善しないからである。今年の春闘をみてもアベノミクスと経団連の姿勢は逆方向を向いている。


そもそも、現下のデフレは内需の低下に起因するものである。物が売れない→価格引き下げ→賃金引下げ→物が売れない→価格引き下げという悪循環から抜け出せない。個々の企業は生き残りをかけてリストラ・賃下げに精を出す。どこも同じようなことをするので結局消費は伸びず、需要が停滞する。合成の誤謬である。ここを解決しなければいくら日銀がお金を流しても効果は期待できないだろう。


賃金は1997年を100とすると15%も減ってしまった。そればかりか年収200万円以下の働く貧困層は1000万人に迫る。なお増え続けている。雇用不安定な非正規労働者は全雇用者数の35%を超えている。それでも何とか生活しているのはデフレ=物価の下落だからである。


デフレ脱却に内需の6割を占める個人消費の拡大が大前提である。そのためには、現役世代、特に若者には正規雇用の場をつくり、普通に暮らしていける最低限の所得を確保しなくてはならない。普通に食べて、たまには外食できる。そして普通に家庭を持ち、子供を産み育てる。いずれは、車も買って、マイホームにも手が届く。この普通の人生設計が若い現役世代に難しくなっている。いつ解雇になるかわからないよううな雇用環境では将来生活に安心感が生まれない。


雇用の安定と賃金の改善はまず第一義的には企業経営者の発想の転換が必要だろう。とにかくリストラすることしか頭にない経営者こそデフレ要因といわなければならない。大企業の内部留保の総額は260兆円との試算もある。仮にこの1%分2.6兆円を原資にすると、賃上げでは月1万円として約2100万人可能だ。雇用ででは年収300万として約90万人増やせる計算だ。


雇用と賃金の改善がなければ、物価を上げれば経済が良くなるというシナリオは成り立たない。景気が良くなる、経済がよくなるということはつまるところ庶民の懐具合なのだ。


「デフレの正体」(岩波新書)の著者・藻谷浩介氏は「生産年齢人口減少に伴う内需の縮小」をデフレから脱却できない構造的問題であると指摘しているが、そのように問題を設定するとこれから先、成長というようなことがどれだけ可能なのであろうか。アベノミクスへの期待が失望に変わるのはそう長くはかからないかもしれない。

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